35・アイラシェリ

 どれだけアイラシェリを眺めただろう。
 時が止まったままの、美しいままのアイラ。
 兄貴と笑い合ってたあの時のまま。
 俺が抱いた、あの体のまま。
 ほのかに甘い香りを漂わせながら。
 そのまま。眠る。


「すまないが・・・・・一人にしてくれないか?」




          Heaven?


 二人だけになった部屋はあの日のまま。部屋の作りも、兄と住んでいた時と似ている。

 イツキはアイラシェリの側に座り、今にも起き上がって微笑みそうな彼女の顔を覗き込む。顔色はあまりよくないが、それでも彼女は生きている。生きてここに横たわって眠っている。

 頬に手を当てる。絹のような肌触りはやはり変わらない。あの時の温もりと全く変わらない。

 生きている。だが、眠りについている。

 3年前に何があったのだろうか。兄は何を知っているのだろうか。知る者は今、誰もいない。言葉を語るものは誰もいない。

 ブルーヘブンを抜かして。

「兄貴はあんたに惚れてたよ。あんたも好きだったんじゃねえのか?」

 ここで答えてくれたら、どんなにすっきりするだろう。残念ながら起きそうにもない。
 イツキは手を離し、目を瞑った。

「兄貴と暮らしてたのはブルーヘブン。ブルーヘブンはアイラシェリの姿になって共に生きた。だが本物のアイラシェリは眠っちまった。兄貴は眠ったアイラシェリをここまで運んだ・・・・・・」

 偶然なのだろうか。アイラシェリが眠ってしまったから、アイラシェリを願ったのだろうか。兄もブルーヘブンに会ったのだろうか。そして、追いかけようとしたのか。今のイツキのように。

 考えはどこを巡っても掻き消えるような行き止まり。結局は青い鳥が答えを持って飛んでいる。

 ため息をつくと、倒れるようにベットに頭を乗せた。規則正しい心音と、呼吸するかすかな寝息が苦痛と安堵を同時に呼び寄せる。

 イツキは今、心底ブルーヘブンに会いたかった。今すぐ会って、問いただしたい。

 何が願いだ?どうして、人と交わろうとする?

 兄はお前に願ったのか?どうやって願いを叶えた?

 意識が吸い込まれ、目の奥が重くなった。イツキはほんの少しだけ、兄とアイラシェリの夢を見た。






「はい、お嬢さん」
「あ、ありがとう・・・ございます」

 暖かいココアの入ったマグカップを受け取ると、タイザーは恐る恐る口をつけてちびちび飲んだ。こうして「母親」という存在と触れるのは久しぶりすぎてどうしていいかわからなかった。

「お嬢さんは、妹さんかな?」

 思ってもみない単語にタイザーは目を点にして、首をかしげた。そんなこと考えたこともない。

「妹・・・・じゃないですけど・・・・・うーん・・・・旅の仲間、です」

 アイラシェリの母親は目じりにしわをためてやさしく微笑んだ。

「偉いのねえ・・・・・小さいのに、旅をして・・・・・」

 小さいのは、と言おうとしたが、あまりにやわらかく笑いかけてくれるのでタイザーはどきどきしながらココアを飲んだ。こういうのが母親なんだな、と思うと胸が痛い。

 それ以上に思う。きっと、あの眠り姫もこうやって笑うのだろうと。とろけそうな笑みで、みんなをやさしく包んでくれるのだろうと。

 早くここから出て行きたかった。痛くて痛くて倒れそう。

「・・・・・・・・・」

 ちらり、と眠り姫の部屋の扉を見る。音も声もしない。イツキは何を考えているだろう。どんな思いをはせているのだろうと考えるが、全く思いつかない。

 落ち着かないタイザーに気づいて、アイラシェリの母親はくすりと笑った。タイザーもそれに気づき、急いでマグカップで顔を隠した。それでも向こうで笑っているのがわかる。何で笑われているのかわからないが、とたに恥ずかしくなった。考えるのはやめよう。

「えっと、えっと、あの・・・アイラシェリさんは、その、病気だったんですか?」

 母親はゆっくりと首を振る。

「いいえ・・・・。健康そのものでした・・・・・。風邪一つ引かないのがあの子のとりえでねえ・・・。でも歌手になるためにがんばりすぎたのかもしれない・・・・・きっと、ラフレアの街で糸が切れちゃったんだろうねえ」

 そう言い、悲しそうに笑った。目じりにうっすら涙が浮かんだ。
 タイザーはしまったと思ったが、どうやっても取り返しがつかなくて、申し訳ないと思いながらココアを飲んで下を向いた。

「・・・・・でも、アキイさんのように親切な人がいて助かりました」

 母親はタイザーにクッキーを勧めたが、やんわり断った。

「どんな人なんですか、アキイさんって・・・・僕、よく知らなくて」
「いい方でしたよ。倒れたあの子をここまで運んできてくれてねえ・・・・・お仕事あって時間がないというのに、2日ほど面倒を見てくれたんだよ。今のイツキさんみたいに、ああやって見守るようにね・・・・・」

 タイザーはまた部屋を見た。静かすぎて、誰もいないのではと思った。

「でもねえ・・・・なんでこうなったとかはわからないらしいんだよ・・。気がつくと倒れて・・・。アキイさん、俺のせいだって嘆いてたわ」
「俺の、せい?」
「ええ・・・・。きっと、気づいてあげれなかったことを言ってるんだと思うけど・・・。優しい方ねえ」
「・・・・・・・・・」

 タイザーは立ち上がった。頭で考えていても、体が先に動いてしまった。立ち上がってからしまったと思ったが、行くしかない。

「あ、えっと、ちょっとお茶持って・・・・・いきます・・・」
「はい、どうぞ」

 タイザーは逃げるようにカップを掴み、部屋の前に立った。ノックしようかどうか迷ったが、結局そのまま扉を開けてしまった。

「いっきー・・・・・・」

 イツキはタイザーの声に反応せず、ぼーっと椅子に座ってアイラシェリを見ていた。顔は見えないが、幾分か肩が落ちて見える。やはり何を考えているかわからない。ただ、痩せた背中が折れそうで怖かった。

「・・・・ん?」

 たっぷりと数秒の間をおいて、ようやくイツキが反応を返した。やはり顔は見えない。タイザーは素早く部屋の中に入ると、急いで扉を閉めた。

「お茶」
「おう」

 イツキはカップを受け取ると、両手に包み込んでまたアイラシェリを見つめた。タイザーはイツキの後ろに立って同じように眺める。イツキがどんな顔をしているか、知りたくなかったからだ。

「いっきー」
「何だ?」

 ためいがちにスカートを握る。

「・・・・・・・・・」
「ん??」

 イツキは振り返らない。タイザーは少しうつむいた。

 聞きたくないけど、聞かなければ前に進めない、きっとブルーヘブンに会えない。でも答えを聞いたらやっぱり痛くて嫌になるかもしれない。それでも、とタイザーはなんとか声を出そうと顔を上げた。

 最初の一言はうまくでなくて、喉が痛かった。やっぱり痛いや、とタイザーは自嘲気味に言葉を零した。

「いっきーの願い・・・・・・。ブルーヘブンに願いたかった人って、この人?」
「は?」

 ようやくイツキは振り返った。イツキがどんな顔をしているか見たくなかったので、タイザーは目線をそらした。きっと今の自分は泣く寸前の無様な顔に違いない、そう思っても笑うことも普通の顔もできない。眉間に自然に力が入った。

 イツキはどうやら笑っているらしく、いつもの軽い声が戻ってきた。

「違う・・・・とは言いきれねえな。まあとりあえず座れよ」

 タイザーは首を振り、「いい、立ってる」とつぶやいて動かなくなった。それよりも続きを聞きたそうに、そらした茶色い目が訴えている。

「違うとも・・・そうとも・・・言いきれないな・・・。ま、それをはっきりさせるために、ブルーヘブンを探すんだよ」
「ゆーじゅーふだーん」
「いーんだよ。そういうお前は何だよ?」
「・・・・・・・・・・・」

 数秒の間を置き、ぽつりと声を漏らす。

「僕は・・・・・・・」

 横目でイツキとアイラシェリを見て、またイツキを恐る恐る見る。

「僕は・・・・・・僕は、家族が欲しい」
「・・・そうか・・・・・」

 砂漠の盗賊たちに囲まれ、放置された少女。特に不思議はない。この世の中、日常茶飯事だ。日常茶飯事だからこそ麻痺していた。誰もが可能性があるのに、忘れていた事実。念頭にあったはずなのに襲われる理不尽さにどう対応できようか。

 特に幼かったタイザーは、胸に何があったのか。想像に難くない。

「だから、あの時・・・・・・・。僕の家族が僕を捨てたとき・・・・・・・デザートシーブスを殺そうとしたとき。・・・・・そこに来たのは、お父さんの姿をしたブルーヘブンだった」

 大好きだった父親の姿をしたブルーヘブンは溶けるように鳥になり、誘う。
 追いかけておいで、馬鹿な子。

「本物はいるのに、どうして偽者の父親を望んだのかわからなかったよ」

 あの日にいなくなった家族たち。でもその家族は?

「もし僕の願いが叶って・・・・・ブルーヘブンが僕のお父さんになったら・・・・・本物のお父さんはどこにいくんだろう?ねえ・・・・・・今いる人を願って、本物はどこに行くの?二人が出会ってしまったら、どうなるの?」

 二人は食い入るようにアイラシェリを見る。囁くような声は次第にボリュームを上げていったが、彼女は起きない。

「・・・・・・兄貴は、アイラシェリを願った。間違いねえと思う」

 眠り続けるアイラシェリ。もしかすると、もう目覚めないのかもしれない。

 強い思いに囚われたように。永遠の籠の中、永遠の眠りの檻。

「だが、アイラシェリは眠っちまった・・・・・でも兄貴は一緒に暮らした・・・・・・」

 ふ、とイツキの頭に何かが浮かぶ。それは予想でしかない。

 望みは誰?誰になって欲しいの?馬鹿な人たち・・・・・・








 呆然とした時がながれた。細くたなびく風の光がするりと部屋をすり抜ける。空を見ると、溶岩のような太陽がゆっくりと地上へ手を伸ばしているところだった。群青の空にいくつか薄墨の星がかすかに瞬く。明日は晴れるのだろうか。

「失礼します」

 ノックと共にアイラシェリの母親が入ってくる。二人はわずかに反応を返すと、ぎこちなく頭を下げる。

「そろそろ日も沈んできます。よかったら泊まっていきますか?」

 イツキはタイザーに目くばせすると立ち上がり、母親に振り返った。

「いえ、いいです。次の街に行く予定があるので・・・・」
「そうですか・・・・残念です。アキイさんのことや歌った時のアイラのことを聞きたかったけれど・・・」
「また来ます。・・・そろそろ行くか、タイザー」
「う、うん・・・・・」

 二人は軽く会釈をする。イツキはどことなく落ち着かない様子で母親の傍をすり抜ける。母親はイツキの姿を目で追うと、少し寂しそうに首を傾けた。

「でも・・・もう少しゆっくりしてていいんですよ?」
「いえ・・・・・。それでは」

 二人が部屋を出ると、母親はか細い声で「いつでも遊びに来てください」と言って頭を深く下げた。イツキはその姿をもう見ていなかった。







 外に出ると、太陽はまだ空にしがみついていた。生ぬるかった風は冷やされ、よそよそしく肌を撫でる。

 イツキは目をつむり、眠るアイラシェリと兄の姿を交互に映した。

「・・・・タイザー」
「何?」

 突然イツキは立ち止まった。砂が煙幕のように立ち上り、イツキの輪郭を曖昧に消す。タイザーも止まり、振りかえった。やはり砂が、小さな輪郭をおぼろげにした。

「お前、今家族がどうしてるとか知らねえのか?」

 タイザーはきょとんと目を丸くした。イツキがタイザーの家族について聞くのは珍しい。

「なんだよ急にー・・・・。うーん・・・知らないよ。でも多分、もう実家にいると思う・・・。僕たち、旅する前はちゃんと村の家にいたし、たまに帰ってたから」
「そうか。そーいやあ、お前ってどこの街出身なんだ?」

 逆光のせいか、夜が迫ってきているせいか、イツキの顔がよく見えない。いつものにやにや笑う口元も垂れた瞳も今は暗く隠れてしまっている。タイザーは上目に覗きこんだが、やはりよく見えない。

「ん?どうしたの、いきなり」

 イツキは答えなかった。そこにいるのが本当にイツキかよくわからなくなってきたが、タイザーは不思議もなく答えた。

「えっと・・・僕ねー、・・・カリスっていう小さな村だよ。ここからだと・・・南かな」

 イツキは小さく「そうか」とつぶやく。それ以上は口を閉ざす。

「ねえ・・・どうして今聞くの?」

 タイザーの瞳に暗いイツキが映り込む。影のような姿が、どろりと溶け落ちる太陽が入り混じる。

「この先にな」

 宿屋を越えたはるか向こうを指差す。沈みかけた太陽では向こうは暗闇にしか映らない。その先に何があるか、タイザーには見えないのにイツキは指で誘う。

「車を貸し出すところがある。場所を言やあ、連れて行ってくれるだろうよ」
「え・・・・・何?ねえ、いっきー・・・どうしたの?ねえ、ねえ・・・・」

 近寄りたいのに近づけない。イツキは動いていないはずなのにどんどん、急速に遠くへ行ってしまう。手を伸ばせば届くのに、あれだけずっと近かった距離なのに。

「ねえ・・・どういうこと・・・・・?」

 タイザーの声が信じられないほど小さく霞む。

 イツキは何も言わない。タイザーがいくら見つめてもイツキから声は出ない。それどころか、何を考えているかわからないほどイツキの表情は固まっている。

 話さず、ただタイザーを見る。眼差しが光る。太陽はいつの間にか沈んでいるのに、イツキの目はオアシスの水面のようにゆらりときらめく。


「もう、やめよう」


 スローモーションのようにゆっくりと口が開かれた。

「やめ・・・る?」
「お前、家に帰れ」
「え?」

 突然のことに、反応ができなかった。

「家・・・・・・?家って・・・・何・・・・」

 イツキはため息をついてタイザーから目をそらした。

「カリスの街。家族のとこに、帰れよ。もーブルーヘブン探すのやめやめ」
「何・・・・・・何言ってるの・・・・・?」

 タイザーはイツキの腕に触れたが、イツキは振り払う。べりっと音がしたような気がした。

「やめるって何・・・・・?いっきー。いっきーも来るよね・・・・ブルーヘブン探しに、行くだけだよね・・・?探しに・・・家・・・あ、そっか・・・南の方、まだ・・行ってないもんね・・・」

 支離滅裂だ。わかっているのに言わずにはいられない。

「いっきー、こっち・・・向いて。ねえ・・・」

 いつもの飄々とした姿がない。そこにあるのは途方に暮れる悲しい姿でもにやつく猫のような顔でもない。何もなくて、そこに誰がいるかわからなくなった。

「・・・・何聞いてたんだよ。俺は行かねえし、つーか、ブルーヘブン探しはやめるんだよ。俺も家帰るわ。だからお前も帰れよ、村に」

 耳を疑った。声すらイツキのものではない。感情のない低い声。知らない男の声がする。

「な・・・・何言ってるんだよ!僕も行く!いっきーの家行く!」
「来るな来るな。第一、家族がそこにいるかもしんねえのに家族を求めた?やっぱお前ガキだよなー・・・・」

 嘘だと信じたい、けど耳を塞ぎたい。これ以上イツキの声は聞きたくないけど、それでも求める。嘘という言葉を。

「そ、そんな・・・・!あの人たちはいないよ!村に帰ってないよ!あの家族はもう・・・僕の家族じゃない・・・!今さら・・・お願い、今さら・・・そんなこと言わないで・・・・!どうしてそんなこと言うの・・・どうして・・・」

 嘘だと早く言ってほしいのに。無情にもイツキは冷めた目でちらりとだけタイザーを見た。その顔はすでに知らない人だった。

「もう、ブルーヘブンは・・・・いっきーは、いいの・・・・?」

 最初から求めない人は招待されない。青い鳥は飢えた人を優しく誘う。可哀そうな人たちを、狂った歌で誘い出す。

 イツキの髪が揺れた。いつの間にか解けている。顔が消えた。

「もうやめだ、やめ。アイラの姿見てわかったんだよ。やっぱり俺が欲しいのはアイラ。甘くていい女。・・・でもなー寝ちまってる姿見たら冷めたわ。そうしたら、なんだかどーでもよくなったってわけだ」
「でも・・・・・」
「ブルーヘブンに願えばってか?あのなあ、結局は本物がいるのに偽物?よく考えたら馬鹿げた話だよな。・・・俺は本物が欲しいね。ま、冷めちまったから今はどーでもいいけどな。・・・・そういうわけだ。じゃーな」

 イツキはポケットに手を入れ、一人歩き始める。暗闇に一歩、一歩と消えていく。

「待ってよ!」

 何を言ってるかわかってるけどわかりたくない。

 イツキが欲しいのはアイラシェリ、願ったのはアイラシェリ。ブルーヘブンはきっとアイラシェリになってイツキを優しく撫でる。そうすればイツキも元気になって、旅は幸せに終わる。

 それでいい。それを願ってタイザーも旅をしているのだから。タイザー自身もそういった幸せを夢見て追いかけていたのだから。

 痛くて痛くてなんだかわからないけれど、イツキが願うのであればそれでいい。それがラストならば。

 いいと思っているのに、涙が出た。このまま家族の元に行けば、確かに願った家族はそこにある。

「違う・・・・・・」

 タイザーは首を振り、急いで追いかけた。お願いだから追いついてと自分の足を罵倒しながら走るが、砂が絡みつく。イツキの重たい意思がそこにあるような気がした。走っても走っても追いつくどころか距離が開く。

「やだよ!僕に家族はいない!あんなの、家族じゃないよ!やだ・・・・・・」

 どんどん、イツキの背中は小さくなっていく。近かった背中が、いつでも掴むことのできた背中が。

「僕が欲しいのはあの家族じゃない・・・・違う・・・・いっきー・・・いっきー・・・!」

 イツキが滲む。目の前の景色にノイズが走る。虚構の世界が眼前に広がる。ここが夢だったらいいのに。

「僕も一緒にやめる・・・やめるから・・・ブルーヘブン探すの・・・やめる・・・・」

 なんのための旅だったんだろう。

「だから、お願い・・・・・僕を一人にしないでよお・・・・・」


 もう、いない。


 イツキはもう見えない。

 タイザーは一人、座り込む。

 誰もいない。

 誰もタイザーに気づかない。

「僕・・・・・・・一人はやだあ・・・・・・・」

 一人はとても寂しいから。だから一緒にいたいの。一緒にいたいと願うの。

「僕は・・・・・・・・僕の望みは」

 叶えてあげるよ。

 馬鹿な人。


 どうしようもなく愚かな子。







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